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『葬送のフリーレン』の92話の感想。

今回のエピソードは、魔族側の最高戦力である七崩賢の「黄金卿のマハト」と、ヴァイゼの街の領主 「グリュック」の奇妙な友情のお話でした。

管理人はこれまで『葬送のフリーレン』を割と高く評価していたつもりだったのですが、今回のエピソードで少し考えを改めないといけなくなりました。

鳥肌が立ちました。

この作品は紛れもなく傑作である。と、そう感じさせてくれる一話でした。


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「魔族は人と同じ言葉を話すが、ただ声真似しているだけで人とは絶対に分かり会えない。ただの猛獣に過ぎない」

というのは主人公であるフリーレンの言葉であり、全編を通して幾度となく唱えられ続けている主張でもあります。
またそれは、作中の描写から考えても非常に説得力が強く、読者視点からも「世界設定としての事実」として受け入れてきました。

それは正しい。間違いなく正しい。

魔族は人と分かり合えない。

このフリーレンの主張が揺らいだわけではありません。

ですが、マハトとグリュックの歪な友情もまた真実であったと、そう思わせる説得力が今回のエピソードにはありました。

今回のマハトの台詞すべてが、今までの魔族のように言語を真似ているただの鳴き声という可能性だってもちろん否定できません。

ですが、何週にも渡って丁寧に紡がれてきたこの過去編で得た情報を元に考察してみたなら、マハトの言葉は地の文よりも正しく事実を述べているのだろうと、どうしても期待してしまうのです。


元来魔族に備わっていない感情《悪意》《罪悪感》を理解したい最強の七崩賢マハト。

腐敗したヴァイゼの街を浄化するために力を貸せば、それを教えてやると取引をした領主グリュック。

地獄の底まで付き合うという口約束。

裏の仕事をしながらもヴァイゼの街の復興は進んでいく。

親しい人間を殺すことで、ずっと渇望していた感情あ《悪意》《罪悪感》が理解出来るかもしれないと期待し続けての30年。

30年という歳月は人間には長く、魔族には短い。

しかしマハトは、たとえ一瞬であったとしても貴方と出会い過ごした時間は私にとって掛け替えのないものだと、年老いたグリュックに語ります。

だからすべてをぶち壊そうと考えました、と。

マハトの腕に嵌められている《支配の石環》は、マハトにルールを課せている。

『ヴァイゼの民に悪意を抱いたら死ぬ。』

マハトのことを誰よりも理解し悪友とさえ呼んでくれた「グリュック」と、二人でともに復興させてきた「ヴァイゼの街」を壊すことで、望んでいた感情が得られるはずだ。

行動を起こしたからにはマハトには確信があったのだろう。
だからきっとそこには友情があったのだと思いたい。

魔族と人は分かり合えないが、個人同士であればあるいはもしかしたら……。

掛け替えのない日々をともに過ごした友人を手にかけたなら、《悪意》《罪悪感》が理解出来るに違いない。だからこその黄金化。
その時には腕輪のルールで死ぬことになるがそれもまた一興。地獄の底まで付き合う約束だ。

マハトはきっとこう考えていたに違いない。

しかし腕輪は何も応えなかった。

あれから50年。最後の七崩賢マハトは、黄金郷ヴァイゼで独り静かに佇んでいる……。



 (´-`).oO(嗚呼、エモい!!!)

マハトよ、君が行ったのは人間でいうところの介錯であるから、悪意や罪悪感なんてものが得られるはずもないのだよ。それは別の感情なんだよ……。

来週のエピソードが待ち遠しいですなヽ(*゚д゚)ノ